こんにちは、ゴンです。
これまで、緊急自動車に認められている26の特例だったり、13の特例を受けない行為を学んでいきました。
これら多くの特例が認められている緊急自動車ですが、それらの特例でもカバーしきれない事態が発生する場合もあります。
そのような時、緊急自動車の機関員としてどのように考えていけば良いのでしょうか?
今回はこの点に着目して、緊急自動車の正当業務行為(違法性阻却事由)について学んでいこうと思います。
緊急自動車の特例についてはこちら↓
緊急自動車の特例を受けない行為についてはこちら↓
正当業務行為(違法性阻却事由)とは
刑法第35条には、次のようにあります。
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
つまり、法令に違反するが、正当な業務行為だと認められれば行っても良い、ということです。
具体的にどのような行為かというと、
- 刑務官による死刑執行(殺人罪に該当)
- 格闘技の選手が、試合で相手選手を殴る(暴行罪や傷害罪に該当)
このような行為は、法律に違反する行為ですが、正当な業務行為と認められ罰せられません。
緊急自動車による正当業務行為(違法性阻却事由)
同じようなことが緊急自動車にも適応されます。
例えばですが、救急現場に到着すると、救急車の乗車定員を超える数の傷病者がいたとします。
通常であれば救急隊の増強をかけますが、現場が管轄範囲のギリギリで次の増強隊が現場到着するのに30分かかるとします。
全員一つの救急車で管理・搬送可能であり、実際に医療機関まで搬送した場合、本来であれば乗車定員をオーバーしていて、これを容認する特例もないためアウトですが、正当業務行為として罰せられなくなります。
実際に、大規模災害発生時において、通信状況の悪化により医師の具体的指示が得られない場合には、具体的指示なしで特定行為を実施したとしても違法性が阻却される、と東京消防庁が各都道府県に連絡しています。
まとめ
今回は緊急自動車の正当業務行為について学んでいきました。
この正当な業務とは、正当と認められる業務上の行為で、業務そのものが正当である必要があります。
これはつまり、緊急用務の重要性に比べ、行なった不都合な行為の方が重くなってしまってはいけない、という事です。
災害現場でこの正当業務行為のことを考えないといけない場面は、相当切羽詰まっている状況だと想像できますが、全ての行為に根拠を持てるように活動していきましょう。
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