こんにちは、ゴンです。
僕たちポンプ機関員にとって、出場災害は火災、救助、救急事案の応援出場などなど多数あると思いますが、一番の腕の見せ所はやはり火災現場におけるポンプ運用だと思います。
そこで今回は、ポンプ運用の基礎である、ポンプ車の吸水理論を皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
水力学など難しい分野も含んではいますが、一緒に頑張りましょう!
ポンプ車の詳しい配管はこちら↓
水利の種類
火災指令が鳴り、ポンプ機関員が一番気にするポイントといえば、水利です。
自分が部署する水利が自然水利なのか、消火栓なのか。
それによって現着後の活動が少しだけ変わってきます。
自然水利にも様々な種類があり、防火水槽、海、河川、池、プール等、消防水利の基準に適合するものがたくさんあるはずです。
消防水利の基準の話はまた後ほど・・・
今回学んでいくポンプ車の吸水理論は、自然水利などの無圧水利に部署した場合になります。
消火栓などの有圧水利に部署したら勝手に水が送られてくるので吸水しなくても良いですからね!
水利には有圧水利と無圧水利がある
吸水理論と吸水高さ
ポンプ車には真空ポンプがあり、それが駆動することにより配管内を真空にして水利から水を吸い上げてきます。
イメージ的にはストローを吸ってジュースを吸い上げる感じと同じなのですが、後輩に吸水理論を説明するとき、これではかっこよくありません。
この地球には大気圧というものが存在しています。
大気圧とはまさしく大気の圧力で、平常時で1013hPaという大気圧が生じています。
これが台風の時とかに980hPaとかになり低気圧と言われたりします。
この大気圧というのは、もちろん海や池などの水面にも働いており、これは10.33mの高さの水柱の底面に及ぼす圧力に等しいです。
つまり、完全な真空状態を作り出すことができれば、理論的には純粋の水では10.33mの落差まで吸水できることになります。
しかし、消防車では完全な真空状態は作り出すことはできないことや、それ以外の損失も加わり、実際には7〜8m程度が限界だと考えられます。
これが消防車の吸水理論です。
・吸水高さの理論値は10.33m
・実際の吸水高さは7〜8m
吸水高さに影響を与える要因
先ほど、ポンプ車の吸水高さには様々な損失が加わり理論値にはならないと説明しました。
では、どのような影響があるのでしょうか。
吸管内の摩擦損失
吸管内を水が流れる際に生じる摩擦によって、摩擦損失が発生します。
比重
吸水する液体の比重が吸水高さに影響してきます。
比重が大きくなるほど吸水高さは減少していきます。
例えば、海水は比重1.025なので、吸水高さが約2.5%減少します。
真空ポンプの限界
現在の消防ポンプに使用される真空ポンプの性能は約−0.09が最大であり、理論上の最高値に達することはできません。
水温
水温が上昇すれば、吸水高さは減少します。
気圧
気圧が高くなれば、吸水高さは上昇します。
まとめ
消防車の吸水理論は、大気圧と密接に関係していることがわかりました。
また、ほとんどの消防車で吸管が10mなのも、これが理由です。
それ以上の長さにしても、理論上水を引っ張ってこれないし、取り扱いもしづらくなります。
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