みなさんこんにちは、ゴンです。
今回は、ポンプ車がどのようにして水を水利から吸い上げて放水しているのか、一連の流れを勉強していこうと思います。
ただ、ポンプ車といってもポンプメーカーはたくさんあるので、今回は国内シェア5割を誇るモリタポンプに注目して勉強していこうと思います。
これを知ることで機関員としてのレベルが上がるだけではなく、現場での様々なトラブルに対応できるようになりますので、しっかりと覚えていきましょう。
ポンプ車の吸水理論はこちらから↓
モリタポンプの配管図 全体像
まず最初にモリタポンプの配管の全体を見ていきたいと思います。
たくさんのパーツから構成されているのがわかります。
このパーツを一つ一つ見て、全体を掴んでいきましょう。
ピストン式無給油真空ポンプ
P.T.Oからの動力を電磁クラッチを介して真空ポンプを駆動させ、それにより吸菅・ポンプ配管内の空気を排出し、揚水を行います。
図から分かるように、カムはシャフトに対して偏心して取り付けられています。
これによりシャフトが回転することによってピストンが左右に動き、2系統で排気を行います。
片側が吸気をしている時に、反対側は排気をしていることになります。
エアフィルタ
真空ポンプの次に繋がっているのが、エアフィルタです。
エアフィルタは真空ポンプにより排気が行われる際、塵やゴミが真空ポンプに侵入しないように取り付けられています。
真空ポンプの寿命を伸ばすために取り付けられており、自然水利揚水後は毎回清掃を行いましょう。
清掃はボウル内を水で流し、エレメントに付着している砂や泥を圧力空気等で吹き飛ばすか、水で洗い流しましょう。
これを怠りゴミが蓄積していくと、真空不良を起こしたりしてしまいます。
チェックバルブ
チェックバルブは主ポンプと真空ポンプとの間に止水弁と共に取り付けられています。
真空ポンプ停止時が停止した際に、真空ポンプ側から主ポンプへの空気の流入を防ぐ働きをします。
機能
通常時は画像通り、その自重でバルブは下に降りていて、真空ポンプ側からの空気の流入を防いでいます。
真空ポンプ作動時は真空ポンプ側の配管が陰圧となり、主ポンプ側との圧力差によってバルブが持ち上がります。
これにより空気の通り道ができます。
揚水完了後は前述の通り、真空ポンプ側と主ポンプ側の圧力差がなくなり自重によりバルブが下がります。
それにより真空ポンプ側からの空気の流入を防ぎ、落水を防止します。
止水弁
止水弁は、チェックバルブの横、エアチャンバの上に取り付けられています。
真空ポンプに水が流入するのを防ぐために取り付けられています。
機能
真空ポンプにより配管内が陰圧になると、ダイヤフラムが下に引っ張られます。
同時に繋がっているバルブも下に動くことで空気の通り道ができ、これにより揚水ができます。
有圧水を受けた場合、水圧によりバルブが上に押し上げられ、真空ポンプへの水の流入を防ぎます。
エアフィルタ同様、真空ポンプの寿命を伸ばすために取り付けられています。
エアチャンバ
エアチャンバには4本の乳白色のビニール管が画像のように配管についています。
これにより揚水時に勢いのついた水によりエアチャンバの上についている止水弁のバルブが押し上げられて揚水完了を誤認しないようにしています。
ただ、このエアチャンバがあることにより、落水後の再揚水時にしっかりエアチャンバ内の水を抜かなければなりません。
しっかりと水を抜ききれてないと、再揚水時にチャンバ内に残された水によりポンプ内は水がないのに揚水完了したと誤認して真空ポンプが停止してしまいます。
水ポンプ
水ポンプには、ME-5とMZ1と呼ばれる型番のポンプがあります。
それぞれ、ME-5が従来型の2段バランスタービンポンプで、MZ1はボリュートポンプとなっています。
2段バランスタービンポンプ
インペラが2枚あり、ガイドベーンを境にして対称に配置されています。
水の流れによるスラスト荷重を互いにバランスさせていることからこの名前が付けられています。
このポンプはインペラが2枚あることから多くの放水量を得ることができます。
ボリュートポンプ
このポンプは1枚のインペラに、2段バランスタービンポンプにはあったガイドベーンがありません。
単純な構造により、軽量化、2段バランスタービンポンプに比べて安価などの特徴があります。
しかしながら、インペラが1枚しか無いので、2段バランスタービンポンプと同じ放水量を出そうと思うと、エンジン回転数が2倍程度高くなるため、ポンプ負荷が高くなります。
性能
水ポンプにはそれぞれ性能に応じて等級があります。
消防車にはA-2以上のポンプを積載しなければなりません。
このA-2等級は、ポンプ圧力0.85Mpaの時、毎分2トンの放水量を求めています。
逆流防止弁
逆流防止弁は主ポンプの上、放水口の根本についています。
機能
揚水操作時、ポンプ内が陰圧になることによりバルプが押し付けられて放水口からの空気の流入を防ぎます。
これがあることにより放水口のコックが開いていても揚水を問題なく行えます。
揚水完了後はポンプ駆動による圧力水でバルブが持ち上げられ、吐水パイプに水が送られます。
また、筒先側の急なシャットにより発生するウォーターハンマー(水撃)がポンプ内に及びポンプが破損するのを防ぎます。
まとめ
これらのパーツがそれぞれ働いてモリタポンプは揚水を完了しています。
実際の揚水操作は真空ボタンを押すだけでオートで揚水が完了する、簡単な操作です。
しかしながら、複雑な部分が多いですがこれらを理解することで様々なトラブルに対応することができます。
トラブルシューティングが出来てこそのエリート機関員です。
しっかり構造を頭に入れていきましょう。
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