緊急自動車の特例

さて、前回は緊急自動車の5要件について学んでいきました。

↓5要件の詳しい内容についてはこちら

どのような車両が緊急自動車と認められるのか見ていきましたが、ではそんな緊急自動車ですが一体何が普通の車両と違うのでしょうか?

それは、26個の特例を受けられる、というところです。

緊急自動車を運行する上で、どれも大切な特例となりますのでしっかり覚えておきましょう!

これが緊急自動車の特例になります。

緊急自動車の特例
  • 右側通行の特例
  • 停止義務免除の特例
  • 通行禁止道路通行の特例
  • 安全地帯、立ち入り禁止部分進入の特例
  • キープレフトの原則除外の特例
  • 歩行者の側方通過時の安全間隔保持、徐行義務免除の特例
  • 車両通行帯に従わない通行の特例
  • バス専用通行帯の通行の特例
  • 路線バス等優先通行帯通行の特例
  • 路外に出る場合の右左折の方法に従わない特例
  • 車両横断禁止標識、転回禁止標識等に従わない特例
  • 進路変更禁止場所での進路変更の特例
  • 二重追い越しの特例
  • 追い越し禁止場所での追い越しの特例
  • 交差点での右左折方法に従わない特例
  • 進行方向を指定した通行区分に従わない特例
  • 横断歩道接近時の減速義務免除の特例
  • 自転車横断帯接近時の減速義務免除の特例
  • 横断歩道及びその手前30m以内での追い抜き禁止除外の特例
  • 自転車横断帯及びその手前30m以内での追い抜き禁止除外の特例
  • 最高速度の特例
  • 交通事故を起こした場合の運転継続の特例
  • 本線車線での横断、転回、後退ができる特例
  • 加速車線を通行しないで本線車線に流入できる特例
  • 出口に接続する車線または減速車線を通行せず流出できる特例
  • 座席ベルトの装着義務が免除される特例

一つ一つ、詳しく見ていきましょう。

右側通行の特例

この特例は道路交通法第39条第1項に、緊急自動車の通行区分等として謳われています。

緊急自動車は追越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、道路の右側部分にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。

反対車線を走行している救急車とか、よく街中で見かけませんか?

あれは、この特例を行使しているんですね!

停止義務免除の特例

この停止義務免除の特例は、法第39条第2項に記載されています。

緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない

基本、車両は踏切や赤信号などで停止しなければならないが、緊急自動車については上記特例により一時停止しないで通行できる特例を認めています。

しかし注意したいのが、赤線部分です。

この特例があるから高速のままノンストップで赤信号の交差点を突っ切っていいというわけではなく、他の交通に注意して徐行しなければならないと記載があります。

全ての車両には安全運転の義務(法第70条)があります。

この特例があるからといって、安全運転の義務がなくなるわけではないので注意しましょう!

まぁそんな無茶苦茶な運転をする人はいないと思いますが。。。笑

ちなみに法文に「徐行」とありますが、徐行とは「直ちに停止することができるような速度」です。

赤信号や一時停止場所への進入方法は各消防本部内で規定があるはずです!

大体は必ず一時停止をして安全確認をしてから進入するパターンか、法文通り徐行で足りるとするパターンの二択かと思いますので、先輩機関員に教えてもらいましょう!

通行禁止道路通行の特例

普段僕たちが車を運転する時、いろんな道路標識によって通行禁止が表示され、それに従わないといけないですよね?

ですが、緊急自動車はこの標識に従わなくてもいいですよ〜って特例です。

車両通行止め、車両進入禁止、自転車専用、歩行者専用、一方通行 etc ・・・

例を出しましたが、実に14種類も通行の禁止を意味する道路標識があります。

しかし、ここでも安全運転義務が免除されるわけではないので注意しましょう。

安全地帯、立入り禁止部分進入の特例

法第17条第6項には、

車両は、安全地帯又は道路標識等により車両の通行の用に供しない部分であることが表示されているその他の道路の部分に入つてはならない。

とありますが、これを否定する形で特例が認められています。

安全地帯とは、

路面電車に乗降する者若しくは横断している歩行者の安全を図るため道路に設けられた島状の施設又は道路標識及び道路標示により安全地帯であることが示されている道路の部分をいう。」

と定義されていて、よくゼブラゾーン(導流帯)と勘違いされやすいので気をつけましょう!

自分も若かりし頃後輩にごっちゃになって説明してたなぁ。。。苦

キープレフトの原則除外の特例

法第18条により、車両はすべて車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、道路の左側に寄って通行しなければいけません。

これがいわゆるキープレフトであり、「左側通行」と解釈するのは間違いです。

歩行者の側方通過時の安全間隔保持、徐行義務免除の特例

歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。

法第18条第2項には上記のようにあり、車両は歩行者の側方を通行する場合は安全な間隔を保つか、それができなければ徐行しなければなりません。

ここで言う安全な間隔と、特別な規定はありませんが、1m以上距離を離すのが安全上良いでしょう。

緊急自動車はこれが免除されるわけですが、当然これにも安全運転義務はかかってきます。

救急車や消防車で緊急走行中に歩行者の横を距離を空けずに走行する方が怖いですよね。。。

車両通行帯に従わない通行の特例

車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。

法第20条に、上記のように記載があります。

ですが、緊急車両は右側の車両通行帯を通行できます。

てか普段から右側車線走っちゃってるの、気をつけなきゃいけませんね。。。苦笑

バス専用通行帯等の通行の特例

車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。

法第20条第2項により、車両は車両通行帯のある道路で通行の区分が規定されている場合はその区分に従って通行しなければなりません。

当たり前の話ですよね。

ですが、緊急自動車の場合は、この区分に関係なく走行できます。

路線バス等優先通行帯通行の特例

法第20条の2により、路線バス等の優先通行帯であることの標識があるような車両通行帯のある道路では、路線バス等が後方から接近してきた場合は速やかに通路を譲らないといけないし、それができないような道路状況なのであれば、そもそも通行してはいけません。

ですがやはり路線バスより緊急自動車の方が優先されており、緊急自動車はこの車両通行帯を走行することが可能です。

路外に出る場合の右左折の方法に従わない特例

車両は道路外(お店の敷地に入る等)に出る際、左折で出る場合はあらかじめその前から出来るだけ左に寄って、右折で出る場合は中央に寄って、徐行しないといけません。(法第25条1項、2項)

ですが、緊急車両の場合はこれが免除されていますので、左折する際に中央から膨らんで道路外に出ることも許されますし、徐行する必要もありません。

車両横断禁止標識、転回禁止標識に従わない特例

法第25条の2には、このように記載があります。

車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。

また、25条の2の第2項には、下記のような横断禁止、転回禁止の標識があるところでの横断、転回を禁止しています。

ですが、緊急自動車に関しては、特例により除外されます。

反対車線に災害対象物があって、交差点反転したら直ぐなのに、中路通って目標に向かいますって、めっちゃ遠回りになったりしますもんね。。。。

進路変更禁止場所での進路変更の特例

法第26条の2には、車両の進路変更について規定があります。

そこでは進路変更禁止の標識がある場所での進路変更を禁止していますが、緊急自動車はこれが免除される特例があります。

俗にいうイエローカットというやつですね!

車両通行帯が黄色の実線の場所では進路変更はしてはいけませんので、普段の運転では注意しましょう!

二重追越しの特例

法第29条には、

後車は、前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない。

とあります。

緊急自動車は特例により二重追越しをしてもいいのですが、そもそも後方から緊急自動車が接近しているにも関わらず車線変更をして前方の車両を追い越そうとする車両は個人的に危険な香りがプンプンするので、無闇に近寄らないのがベストですね!

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