緊急自動車の特例

追越し禁止場所での追越しの特例

法第30条には、

車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。

とある。

どのような場所で禁止されているのかというと、

  • 道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近又は勾配の急な下り坂
  • トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
  • 交差点、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

これらの場所では通常車両は追越しを禁止されているが、緊急自動車はこれらの場所でも追越しをすることができる。

交差点での右左折方法に従わない特例

法第34条にて、

第1項

車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。

第2項

自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

第4項

自動車、一般原動機付自転車又はトロリーバスは、一方通行となつている道路において右折するときは、第二項の規定にかかわらず、あらかじめその前からできる限り道路の右側端に寄り、かつ、交差点の中心の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

というふうに、車両の右左折の方法が明記されているが、緊急自動車はこの右左折の方法に従わなくても良いという特例を設けてあります。

進行方向を指定した通行区分に従わない特例

皆さんが普段車を運転している時、特に大きい交差点とかでは右折レーンや直進専用レーンとか、ありますよね?

普通ならその区分に従った通行しか出来ないと思いますが、緊急自動車はこれを無視できます。

つまり、交差点を右折したいけど右折レーンが混雑しているから直進レーンから回り込んで右折したりするのもOKということです。

しかしながら、やはり安全運転義務がありますので注意しましょう。

横断歩道接近時の減速義務免除の特例

通常、車両は横断歩道または自転車横断帯に接近する場合は、横断歩行者等がいないことが明らかでない場合は、直前で停止できるような速度で進入しなければなりませんが、緊急自動車にはその義務はありません。

自転車横断帯接近時の減速義務免除の特例

これは上の特例と同じことなので省略します。

横断歩道及びその手前30m以内での追抜き禁止除外の特例

法第38条第3項には、横断歩道の手前30m以内では、前方の車両を追い抜いてはいけない。と、あります。

しかし緊急自動車は特例により許可されています。

自転車横断帯及びその手前30m以内での追抜き禁止除外の特例

これは上記の特例路同じなので省略します。

最高速度の特例

緊急自動車には一般の自動車と違い、最高速度に関しても特例があります。

一般車両の法定速度は一般道で60km/h、高速道路で100km/hとなりますが、

緊急自動車は一般道で80km/h高速道路で100km/hとなります。

高速道路では一般車両と変わらないとはなんとももどかしいですよね。。。

ちなみに余談ですが、速度違反を取り締まり中の緊急自動車では、速度は無制限で許可されるそうです。

交通事故を起こした場合の運転継続の特例

法第72条には、交通事故の場合の措置として、次のように記載しています。

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。

つまり、事故を起こした運転手は救護義務が発生し、直ちに車を停止させないといけません。

その後警察官を呼び、事故処理をしていく流れになります。

しかし、緊急自動車の特例として同4項に次のように記載があります。

緊急自動車若しくは傷病者を運搬中の車両又は乗合自動車、トロリーバス若しくは路面電車で当該業務に従事中のものの運転者は、当該業務のため引き続き当該車両等を運転する必要があるときは、第一項の規定にかかわらず、その他の乗務員に第一項前段に規定する措置を講じさせ、又は同項後段に規定する報告をさせて、当該車両等の運転を継続することができる。

つまり、緊急自動車は事故を起こしてもその他の乗務員がいた場合、事故処理を他の乗務員に行わせて、車両の運転、つまり業務継続を行うことができます。

しかしここで注意したいのは、救護義務が免除されるわけではないので、事故を起こしてしまったら緊急自動車といえど必ず停車しなければなりません。

また、事故を起こした際の業務継続を判断する基準は各消防本部の内規で定められている場合がほとんどだと思いますので、先輩機関員に聞いてみてください!

本線車線での横断、転回、後退ができる特例

法第75条の5

自動車は、本線車道においては、横断し、転回し、又は後退してはならない。

と記載があるのに対し、法第75条の9にて緊急自動車には適応しない、とあります。

加速車線を通行しないで本線車線に流入できる特例

法第75条の7

自動車は、本線車道に入ろうとする場合において、加速車線が設けられているときは、その加速車線を通行しなければならない。

と記載があるのに対し、同じく法第75条の9にて緊急自動車には適応しない、とあります。

出口に接続する車線又は減速車線を通行しないで流出できる特例

法75条の7第2項

自動車は、その通行している本線車道から出ようとする場合においては、あらかじめその前から出口に接続する車両通行帯を通行しなければならない。この場合において、減速車線が設けられているときは、その減速車線を通行しなければならない

と記載がありますが、上記2つの特例と同じく、緊急自動車には適用しません。

座席ベルトの装着義務が免除される特例

法第71条の3

自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

このように、通常運転中はシートベルトをしないと違反となってしまいますが、緊急自動車はそれが免除されます。

しかし気をつけたいのが、運転手のみであり、助手席の隊長席は免除とならないのでシートベルトはしなければなりません。

ただ、最近の車はシートベルトをしないと警告音が鳴るものが多いですし、安全面も考慮してシートベルトはする方が無難だと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか?

緊急自動車はむやみやたらに道路を暴走しているのではなく、きちんと法令に則り業務をしていることがわかりましたね!

26個もの特例を受けて特別扱いを受けていますが、そんな緊急自動車での特例を受けれない行為というものが存在します。

次回はそれら、特例を受けない行為を見ていこうと思います。

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