こんにちは。ゴンです。
前回は、緊急自動車の26個の特例についてお話をしていきました。
たくさんの特例があり、この特例をもとに僕たち機関員は緊急走行をして業務を行なっています。
しかし、そんな緊急自動車でも、これは許しませんよ!という、特例を受けない行為が13個もあります!
今回は緊急自動車の特例を受けない行為の13個を一つ一つ勉強して、更にエリート機関員へ近づきましょう!
前回の投稿はこちらから↓
緊急自動車でも特例を受けない行為
早速ですが、緊急自動車でも特例を受けない行為は、次の通りです。
それでは一つ一つ見ていきましょう。
歩行者用道路での注意徐行義務
通常、車両は歩行者用道路は通行してはいけませんが、緊急自動車となると「通行禁止道路通行の特例(法第41条1項)」により通行を許可されています。
しかしながら、法第9条には、
車両は、歩行者の通行の安全と円滑を図るため車両の通行が禁止されていることが道路標識等により表示されている道路(第十三条の二において「歩行者用道路」という。)を、前条第二項の許可を受け、又はその禁止の対象から除外されていることにより通行するときは、特に歩行者に注意して徐行しなければならない。
とあり、緊急自動車といえど、歩行者用道路を通行する場合は特に歩行者には注意して徐行しなければなりません。
歩道通行の禁止
法第17条には、通行区分として車両は歩道を通行してはいけない。とあります。
これは緊急自動車といえど特例は受けておらず、違反行為となります。
ここで、「あれ、さっき歩行者用道路は注意して通行しろって言ってなかったっけ・・・?」
ってなりますよね?
実は歩道と歩行者用道路は似て非なるものなのです!
先ほど登場した歩行者用道路は、車両等を通行禁止にした道のことを言います。
歩行者天国もこのことですね!
対して、歩道は車道と区分された道路のことを言います。
一緒になりやすいですが、しっかり違いを理解しましょう!
軌道敷内通行の禁止
法第21条により、車両の軌道敷内の通行は禁止されており、これに対する緊急自動車の特例も用意されていません。
ちなみに軌道敷とは、線路のことです。
普通に考えたら、線路を走ろうなんて思いませんよね・・・笑
急ブレーキの禁止
法第24条には、こうあります。
車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
そもそも特に患者を乗せている救急車では急ブレーキを踏むこと自体御法度(事故防止を除いて)で、そうならないような運転をするべきですよね。
車間距離の保持
法第26条には、前方の車両がいつ急停止してもいいように、適切な車間距離を保持しなさい、とあります。
緊急自動車でもこの義務は発生するのですが、案外緊急自動車の存在に気づいてもらえなくて苦労しますよね!
最近の車は機密性、遮音性が良いためにサイレンの音に気づきにくく、また昼間の時間帯となると携光灯にも気付きにくく、何回気づけよーーーーー!!!!!!と思ったことか・・・笑
冷静に運転をしましょうね。笑
左側追越しの禁止
緊急自動車には、「追越し禁止場所での追越しの特例」や、「二重追越しの特例」など、追越しについての特例が用意されていますが、左側の追越しだけは特例を受けません。
法第28条第1項には、
車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない。
とあります。
ちなみに、追越しは前方の車両と同じ車線上の前に出ることで、追抜きは、前方の車両に近づき、車線変更して前方の車両の前に出て、そのまま同じ車線を走行することです。
同じような言葉ですが、きちんと違いがあるので理解しておきましょう。
つまり、左側から追い越してはダメだけど、追い抜きならOKということです。
割り込み運転禁止
法第32条には、このようにあります。
車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
これは割り込み運転を禁止する法令であり、緊急自動車もこれに従わなければなりません。
逆に緊急走行中に割り込み運転をしないといけないようなシチュエーションって思い浮かばないですよね・・・笑
横断歩道のない交差点での横断歩行者の保護
法第38条の2には、このようにあります。
車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。
横断歩道の有無に関わらず、緊急走行中は歩行者はこちらの運転を優先するような動きをしてくれる事が多いですが、実は横断歩道のない交差点での第一優先は僕たち緊急自動車ではなく、歩行者になります。
ただこれは横断中の歩行者に限る話で、渡ろうとしている歩行者に道を譲らないといけないわけではありません。
徐行場所での徐行
車両は、法第42条により、徐行すべき場所では徐行しなさいと定めています。
その徐行すべき場所とは、次の通りです。
- 道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合
- 左右の見通しが効かない交差点に進入する時
- 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾こう配の急な下り坂を通行するとき
これらの部分を通行する場合は、緊急自動車といえど徐行する必要があります。
合図をしなければならず、不要な合図の禁止
法第53条には、車両の運転手は右左折、転回、徐行、停止、後退、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは方向指示器や灯火等で合図をしなさいとあります。
これは緊急自動車でも免除されるものではないですが、緊急自動車という普通とは違う動きをする車両で、どのような動きをするのか、周りの車両に知らせるのに合図を出すのは普通車よりも重要になると思います。
しっかりと周りの車両に次の自分の行動を知らせて、事故を防ぎましょう。
警音器鳴らせの標識があるところでの警報器の吹鳴
法第54条により、車両の運転手は警音器ならせの標識がある場所では警音器を鳴らさなくてはなりません。具体的には、
- 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
- 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
これらの場合は警音器を鳴らす必要があります。
警音器ならせの標識です。
あまり見ることはない標識ですので、しっかり覚えておきましょう!
交通事故を起こした場合の停止
こちらは前回投稿の「交通事故を起こした場合の運転継続の特例(法第72条)」にて確認しました。
交通事故を起こした場合は、車両は直ちに停止して、負傷者の救護、二次災害の防止、警察官への報告を行わなければなりません。
交通事故を起こした場合の運転継続の特例では、この3つの措置を他の乗務員に行わせて業務継続ができる、というものでしたが、停止義務まで免除しているものではありませんでした。
したがって、緊急自動車といえど事故を起こした場合は必ず停止しなければなりません。
その後の業務継続の判断は各消防本部によって内規があると思いますので、確認しておきましょう!
緊急自動車の特例についての記事はこちらから↓
緊急自動車の最高速度の遵守
こちらも「最高速度の特例」にありました。
- 高速道路では100km/h
- 一般道路では80km/h
という特例でした。
余談ですが、僕ら消防の機関員には関係ない話ですが警察車両で速度違反取締中の緊急自動車は、速度制限は無制限にあるそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は緊急自動車でも特例を受けない13の行為について見ていきました。
緊急自動車の特例と合わせて基本はこれらをもとに緊急自動車は業務を行なっています。
数が多く難しい話ですが、緊急自動車の機関員になるにはかなず必要な知識となってきますので、しっかし覚えておきましょう!
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