緊急自動車って?
僕たち消防機関員が運転する消防車や救急車は「緊急自動車」と分類されています。
そもそも緊急自動車とはどのような車両のことを表しているのでしょう?
道路交通法では、緊急自動車を次のように定義しています。
要約すると緊急自動車は、
- 公共、公益的な機関の自動車
- 公安委員会の指定等の済んでいるもの
- それぞれの緊急用務を遂行する目的
- サイレンを鳴らし、赤色警光灯をつけ
- 運転中のもの
ということとなり、この5要件を満たして初めて法令上の特例を受けれるようになります。
それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。
公共、公益的な機関の自動車
公共、公益的な機関の自動車ということは、個人で所有することはできません。
ネットには自家用車でポンプ車を購入する人とかいますが、あれでは緊急運転はできない、ということですね!
公共、公益的な機関とは、警察、消防、電力、ガス、水道などのライフライン関係、道路管理、医療機関などの事をいいます。
これらは道路交通法施行令第13条により限定されています。
法第39条第1項の政令で定める自動車は、次に掲げる自動車で、その自動車を使用する者の申請に基づき公安委員会が指定したもの(第1号又は第1号の2に掲げる自動車についてはその自動車を使用する者が公安委員会に届け出たもの)とする。
1. 消防機関その他の者が消防のための出動に使用する消防用自動車のうち、消防のために必要な特別の構造又は装置を有するもの
1の2. 国、都道府県、市町村、新関西国際空港株式会社、成田国際空港株式会社又は医療機関が傷病者の緊急搬送のために使用する救急用自動車[注 1]のうち、傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有するもの
1の3. 消防機関が消防のための出動に使用する消防用自動車(第1号に掲げるものを除く。)
1の4. 都道府県又は市町村が傷病者の応急手当(当該傷病者が緊急搬送により医師の管理下に置かれるまでの間緊急やむを得ないものとして行われるものに限る。)のための出動に使用する大型自動二輪車又は普通自動二輪車
1の5. 医療機関が、傷病者の緊急搬送をしようとする都道府県又は市町村の要請を受けて、当該傷病者が医療機関に緊急搬送をされるまでの間における応急の治療を行う医師を当該傷病者の所在する場所にまで運搬するために使用する自動車(2008年6月本号追加)
1の6. 医療機関(重度の傷病者でその居宅において療養しているものについていつでも必要な往診をすることができる体制を確保しているものとして国家公安委員会が定める基準に該当するものに限る。)が、当該傷病者について必要な緊急の往診を行う医師を当該傷病者の居宅にまで搬送するために使用する自動車
1の7. 警察用自動車(警察庁又は都[注 2]道府県警察において使用する自動車をいう。以下同じ。)のうち、犯罪の捜査、交通の取締りその他の警察の責務の遂行のため使用するもの
2. 自衛隊用自動車(自衛隊において使用する自動車をいう。以下同じ。)のうち、部内の秩序維持[注 3]又は自衛隊の行動[注 4]若しくは自衛隊の部隊の運用のため使用するもの[注 5]
3. 検察庁において使用する自動車のうち、犯罪の捜査のため使用するもの
4. 刑務所その他の矯正施設において使用する自動車のうち、逃走者の逮捕若しくは連戻し又は被収容者の警備のため使用するもの
5. 入国者収容所又は地方出入国在留管理局において使用する自動車のうち、容疑者の収容又は被収容者の警備のため使用するもの
6. 電気事業、ガス事業その他の公益事業において、危険防止のための応急作業に使用する自動車[注 6]
7. 水防機関が水防のための出動に使用する自動車
8. 輸血に用いる血液製剤を販売する者が輸血に用いる血液製剤の応急運搬のため使用する自動車
8の2.医療機関が臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号)の規定により死体[注 7]から摘出された臓器、同法の規定により臓器の摘出をしようとする医師又はその摘出に必要な器材の応急運搬のため使用する自動車
9. 道路の管理者が使用する自動車のうち、道路における危険を防止するため必要がある場合において、道路の通行を禁止し、若しくは制限するための応急措置又は障害物を排除するための応急作業に使用するもの
10. 総合通信局又は沖縄総合通信事務所において使用する自動車のうち、不法に開設された無線局(電波法(昭和25年法律第131号)第108条の2第1項に規定する無線設備による無線通信を妨害する電波を発射しているものに限る。)の探査のための出動に使用するもの
11. 交通事故総合分析センターにおいて使用する自動車のうち、事故例調査(交通事故があった場合に直ちに現場において行う必要のあるものに限る。)のための出動に使用するもの
12. 国、都道府県、市町村、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構又は原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二条第三号に規定する原子力事業者が、同条第一号に規定する原子力災害の発生又は拡大の防止を図るための応急の対策として実施する放射線量の測定、傷病者の搬送、施設若しくは設備の整備、点検若しくは復旧又は放射線による人体の障害を防止するための医薬品の運搬のため使用する自動車(第一号の二又は第六号に掲げるものを除く。)
https://ja.wikipedia.org/wiki/緊急自動車
公安委員会の指定等の済んでいるもの
緊急自動車として運用するには、公安委員会に届出をするか、指定を受ける必要があります。
届出だけで良いもの
1.消防用自動車
消防のために必要な特別の構造又は装置を有する消防用自動車(ポンプ車、はしご車等)
2.救急用自動車
傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有する自動車
指定を受けなければならないもの
上記以外の緊急自動車
我々消防機関員が運転する車両は消防用自動車か救急用自動車であるため、届出だけで良さそうですね!
公安委員会に届出をした場合、緊急自動車届出確認証を各車両ごとにもらうことになります。
この緊急自動車届出確認証は、必ず車両に積載していなければなりません。
残りの3つ
残りの3つ、「それぞれの緊急用務を遂行する目的」「サイレンを鳴らし、赤色警光灯をつけ」「運転中のもの」というのは、自動車の個体的特徴を指しているのではなく、状態的な特徴を捉えています。
したがって、訓練出動や災害現場からの帰り道は緊急自動車とは言えません。
ここで気になるのが、「運転中のもの」です。
我々が運用する救急車や消防車は災害現場まで着いたら、救急車であれば車内で患者さんの観察を、火災現場であれば消火活動を行いますよね?
その停車中は、緊急自動車ではなくなってしまうのでしょうか?
答えは「No」です。
駐車して活動中の緊急自動車は運転中ではないですが、都道府県公安委員会の規則で駐車禁止の規制の対象から除外されているので大丈夫です。
これで反対車線に停車しても、違反駐車となり切符を切られる、なんてこともなさそうですね!
まとめ
今回は緊急自動車とは何か、基本的なところを学んでいきました!
ポイントとしては緊急自動車の5要件、
- 公共、公益的な機関の自動車
- 公安委員会の指定等の済んでいるもの
- それぞれの緊急用務を遂行する目的
- サイレンを鳴らし、赤色警光灯をつけ
- 運転中のもの
これらは緊急自動車を運用する人間として、最低限知っておきたい知識ですね!
次回は緊急自動車の特例について学んでいきたいと思います!
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